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MySQL Enterprise Security

MySQL Enterprise Securityとは?

MySQL Enterprise Securityは、Oracleが提供するMySQL Enterprise Editionに含まれる、エンタープライズ向けのセキュリティ強化機能群です。
 標準のMySQLでは対応しきれないアクセス制御・操作監査・暗号化・不正クエリ防止など、実運用におけるセキュリティ課題に対して、多層的に対応します。

近年ますます求められるデータ保護・内部統制・コンプライアンス(例:ISMS、GDPR、PCI DSSなど)への対応を支援し、MySQLを安全かつ効率的に運用できる環境を実現します。

不正アクセスの防止、操作ログの取得、通信や保存データの暗号化などを通じて、企業のデータ資産を保護するための強固な基盤を提供します。

MySQL Enterprise Securityの主な機能

1. MySQL Enterprise Authentication(外部認証統合)

MySQL Enterprise Authenticationは、LDAPやKerberos、PAMといった外部の認証システムとMySQLを統合できる機能です。たとえばActive Directoryと連携することで、MySQLに対するログインを社内の認証基盤で一元的に管理できるようになります。

この仕組みによって、ユーザー管理やパスワード設定をMySQL個別で行う必要がなくなり、SSO(シングルサインオン)環境の構築も可能になります。これにより、パスワードの使い回しや退職者アカウントの削除漏れといった人的ミスを未然に防ぎつつ、IT管理者の作業負担も大幅に軽減されます。

その結果、社員はストレスなく業務システムを横断的に利用でき、運用側も安心してセキュアな環境を維持できるようになります。

2. Role-Based Access Control(RBAC)

Role-Based Access Control(RBAC)は、ユーザーごとの細かな権限設定ではなく、業務ロール単位でアクセス制御を行える仕組みです。たとえば、開発者、DB管理者、オペレーターといった役割ごとに、あらかじめ適切な権限をまとめて設計しておくことができます。

この方法を採用することで、権限管理の属人化を避け、設定の変更や棚卸しも簡単になります。特に、組織変更や担当者の入れ替えが多い現場においては、運用ミスを減らしながらセキュリティ基準を保つための実践的な手段になります。

3. MySQL Enterprise Audit

MySQL Enterprise Auditは、誰がいつどのような操作を行ったかを詳細に記録し、改ざんできない形で保存する監査ログ機能です。操作履歴がすべて残ることで、不正行為の抑止や障害発生時の原因特定が可能になります。

加えて、ISMSやPCI DSS、GDPRなどの各種監査や規制にも対応できる証跡管理が容易になるため、コンプライアンス面での安心材料にもなります。可視化された操作ログが、信頼性の高いデータベース運用を支える土台になります。

4. MySQL Enterprise Firewall

MySQL Enterprise Firewallは、あらかじめ学習させた正規のSQLクエリのみを許可し、それ以外の不審なクエリをブロックするホワイトリスト方式のセキュリティ機能です。アプリケーションの脆弱性を突いたSQLインジェクションなどの攻撃を、データベース側で直接防御します。

この防御層を加えることで、アプリ開発やテストの段階で見落とされたリスクにも対応できるようになり、セキュリティ対策の抜け漏れを減らすことができます。結果として、攻撃を未然に防ぐ“最後の砦”として、安心してMySQLを活用できる基盤が整います。

5. Transparent Data Encryption(TDE)

Transparent Data Encryptionは、MySQLのデータファイルやバックアップファイルを透過的に暗号化し、復号には専用の鍵が必要になる構造を提供します。このため、物理的にファイルが盗まれても、第三者に読み取られることはありません。

導入にあたってアプリケーション側の修正は不要で、MySQLの内部だけで完結するのも大きな利点です。機密性の高い情報を扱う業務においても、システム全体に手を加えることなく安全性を飛躍的に高められます。

6. SSL/TLSによる通信暗号化

SSL/TLSによる通信暗号化を有効化することで、MySQLクライアントとサーバー間のすべての通信データが暗号化され、盗聴や改ざんといったネットワーク上の脅威を防ぐことができます。構成はシンプルで、MySQLの設定のみで対応可能です。

特に、クラウドやVPN外からMySQLにアクセスするケースでは、この通信暗号化が不可欠になります。セキュアな接続環境が確保されていれば、どこからでも安心してMySQLを運用できる柔軟性を得られます。

7. MySQL Enterprise Encryption API

MySQL Enterprise Encryption APIは、アプリケーションから特定のカラムだけを選んで暗号化・復号処理ができるAPIです。鍵の管理にも対応しており、業務上必要な粒度で柔軟なセキュリティ設計が行えます。

この機能を利用すれば、たとえばクレジットカード番号やマイナンバーといった特定の機密データだけを保護し、システム全体に影響を与えずにセキュリティを強化できます。業務フローを崩すことなく、実務に沿った形で高いデータ保護を実現できます。

こんな課題をお持ちの企業に

セキュリティ課題解決に役立つ機能
1.アクセス管理を強化し、認証と権限を一元化したいAuthentication / RBAC
2.内部不正や操作ミスに備えて操作ログを残したいAudit
3.SQLインジェクションなど不正なクエリの実行を防ぎたいFirewall
4.サーバーやバックアップの情報漏洩を防止したいTDE
5.通信の盗聴・改ざんを防ぎたいSSL/TLS
6.特定データ(個人情報など)をピンポイントで保護したいEncryption API
7.ISMS・GDPR・PCI DSSなどの認証要件に対応したい上記すべての活用による多層防御設計

スマートスタイルによる導入・運用支援

MySQL Enterprise Securityは高機能である一方、設定や設計においては一定の専門知識が求められます。「導入して終わり」ではなく、「業務にフィットする形で、継続的に使えるようにすること」が重要です。

スマートスタイルでは、以下のような体制で導入から運用までを一貫してサポートしています。

  • 現状環境のヒアリングとセキュリティ要件整理
  • 各機能の導入可否と必要性を判断するアセスメント
  • PoC(検証)フェーズの構築・技術支援
  • 本番環境への展開・チューニング・運用手順化
  • 導入後の技術サポート、障害対応、機能活用アドバイス

たとえば、「Active Directoryと連携してSSOを実現したい」「監査対応用のログ取得だけを先に始めたい」など、目的別・段階的な導入にも柔軟に対応しています。MySQLを熟知したエンジニアが、現実的な設計と実装をリードします。

よくあるご質問(FAQ)

MySQL Community Editionでも利用できますか?

いいえ。MySQL Enterprise Securityは、MySQL Enterprise Edition(商用ライセンス)でのみ利用可能な機能です。

クラウド上でも活用できますか?

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)では全機能が利用可能です。Amazon RDS for MySQLでは一部機能に制限がありますので、事前確認をおすすめします。

どこから導入を始めるべきですか?

まずはお客様の環境と課題をヒアリングし、必要な機能をアセスメントしたうえで段階的な導入をご提案します。SSO、監査ログ、暗号化など、導入しやすい箇所から始める企業が多いです。

操作ログや暗号化はパフォーマンスに影響しますか?

環境によって異なりますが、適切な設計とチューニングにより実運用に耐えうる性能を維持できます。PoCによる事前検証もご支援しています。

他のセキュリティツールとどう違いますか?

MySQL Enterprise Securityはデータベース側に直接統合された機能群であり、他の外部製品と異なり、MySQL内部から制御・監視が可能です。導入負荷が軽く、構成がシンプルになることも大きな利点です。

お問い合わせ・資料ダウンロード

MySQL Enterprise Securityのご利用には、MySQL Enterprise Edition(商用ライセンス)が必要です。
 ご導入をご検討の方、ご興味をお持ちの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。エンジニアが貴社のご状況を伺いながら、導入可否や活用方法をご案内いたします。 また、以下の技術資料も無料でご提供しております。構成例や対応機能、セキュリティ強化のポイントなどを詳しく解説しています。

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