株式会社フレームワークスは、倉庫管理システム(WMS)「iWMS G5」を提供しています。同社は株式会社パソナデータ&デザイン(旧 スマートスタイル)の技術支援のもと、Oracle Database前提で「iWMS G5」をOCI上に展開し、セキュアな接続環境(VPNや閉域網)で安全に接続できるクラウド基盤モデルの整備に取り組みました。構成パターンの比較検討から設計・構築、拠点間接続に関する事前確認(ルーター互換性の確認やメーカーへの問い合わせを含む)までを進め、顧客提案に活用できる“OCI上でのWMS提供”の標準モデルと導入ノウハウの確立につなげています。
本記事では、取り組みの背景やOCI選定の理由、構築時に重視したポイント、今後の展望について、同社WMS事業部 製品開発セクション 製品開発ユニット シニアエンジニアの石川様、WMS事業部 G5セクション G5サービス2ユニットの高橋様、営業本部 営業セクション 営業ユニット チーフの迫田様にお話をうかがいました。
フレームワークスがWMSで提供する価値
株式会社フレームワークスは倉庫領域に特化したWMS(倉庫管理システム)の分野で、長年にわたりパッケージ製品を提供してきました。オンプレミス型の「iWMS G5」とクラウド型の「X5」を展開し、幅広い業界の現場に導入しています。
パッケージの標準機能をベースにしつつ、現場運用に合わせたカスタマイズと、経験豊富なエンジニアによる提案を両立することで、物流を“価値”として磨き込みたい企業のニーズに応えてきました。
OCI提供を開始した背景

従来、オンプレミス型WMS「iWMS G5」は「お客様側でインフラを調達いただき、その上にG5を構築する」形が基本でした。しかし近年、お客様の状況が変化し、「インフラ担当者を十分に確保できない」「専門知識を持つ人材がいない」といった事情から、環境構築や運用の負担を外部に委ねたいというご要望がありました。加えてBCP対策やクラウド活用の流れもあり、クラウド上での提供ニーズが顕在化していました。
こうした状況を受け、当社は「OCI上でG5を提供し、お客様の運用負荷の軽減を支援する」新しいモデルの提供に踏み切りました。
OCIを選定した理由
iWMS G5はOracle Databaseの利用を前提としていますので、クラウド基盤を検討するうえでもOracle Databaseとの親和性は外せないポイントでした。
AWSと比較して大きな機能差はないという認識はありましたが、実際にOCIを触ってみるとインターフェースやコンソールのメニュー構成が分かりやすく、運用面でも扱いやすい印象がありました。
また、開発環境の試算をした際に約30%のコストメリットが出たため、お客様にも提案しやすいと考えました。加えて、株式会社パソナデータ&デザイン(旧 スマートスタイル)の担当者が頻繁に支援してくださり、検討を進めるうえでも心強かったですね。
株式会社パソナデータ&デザイン(旧 スマートスタイル)を選んだ理由

株式会社パソナデータ&デザイン(旧 スマートスタイル)さんを知ったきっかけは、日本オラクルさんからのご紹介でした。パートナーを選ぶにあたり複数社比較しましたが、決め手は“提案の中身”でした。
こちらの前提や要望をきちんと汲み取ったうえで、システム構成についてを複数の案を出してくださり、それぞれのメリット・デメリットやリスクまで整理して説明いただきました。説明も非常に分かりやすく判断ポイントも明確でしたので、社内での検討を進めやすく『これなら安心して任せられる』と思えました。
構築フェーズに入ってからも、契約のタイミングを前倒しして早めに動き出してもらえたことで、ヒアリングや準備を先に進められて安心感がありました。我々が分からない部分のポイントを整理して、メーカー側への確認を代わりに進めていただけたのも大変助かりました。
構築のポイント:拠点接続(VPN・閉域網)と互換性の不確実性


OCI上でWMS基盤を提供する上で、特に論点となったのが拠点間接続です。エンドユーザー様側のルーターは機種・世代がさまざまで、OCI側で選べるルーター機種が限られる中で、“本当に接続できるのか”という不確実性もありました。
本件では、接続方式やルーター機種の前提を確認しながら、必要に応じてメーカー確認も行いつつ進行しました。ネットワーク領域はその場で即答しにくいテーマである一方、持ち帰って確認し、調整を代行することで、リスクを抑えながら構築を前に進めました。
今後、より古い機器や大容量データ転送が関わる場合には、初期設計段階から接続性や性能の観点を丁寧に織り込むことが重要になる、という示唆も得られました。
期待していた効果と導入後の評価
コスト面では事前の試算どおりの水準で収まり、事前見積の精度が高いことを確認できました。運用面でも、OCIコンソールの分かりやすさなど、扱いやすさを確認できました。
クラウド上でWMSを提供し、運用負荷の軽減を見据えた提案ができることは、エンドユーザー様の人手不足という課題に対する具体的な解となり、当社にとっても提案の幅を広げる要素になりました。
今後の展望:データ活用・AIを含む継続的な現場改善へ
フレームワークスはWMSの機能拡張に加え、WMSをはじめとした各種現場データを活用するソリューション開発も進めています。具体的には、現場で日々発生するデータを着実に蓄積し、作業の進捗状況や現場データをリアルタイムに把握することで、日々の振り返りや改善に活用していく考えです。さらに、蓄積したデータをもとにシステムが遅延の要因や兆しを捉え、判断を支援するリコメンドを行うことで、属人化を低減し、継続的な業務改善につなげていきます。
将来的にはAI活用も視野に入れつつ、WMS導入で終わらず、現場の改善を継続的に支援できるソリューションへと発展させていく方針です。

左から 迫田様、高橋様、石川様
株式会社パソナデータ&デザイン(旧 スマートスタイル)が行った支援
| フェーズ |
支援内容 |
効果 |
| 提案・構成検討 |
複数の構成案提示(拠点接続パターン等)/要件整理 |
比較検討が進み、意思決定がスムーズに |
| 設計 |
OCI上の設計方針整理/運用前提の設計観点の共有 |
構築後の運用を見据えた設計が可能に |
| 構築 |
OCI環境構築/初期セットアップ支援 |
構築期間を短縮し、前倒しで推進 |
| ネットワーク調整 |
VPN・閉域網の接続検討/互換性確認/メーカー確認の代行 |
不確実性の高い論点を潰し込み、手戻りを抑制 |
| 立ち上げ・運用準備 |
手順・観点の共有/問い合わせ・確認フローの整理 |
立ち上げ不安を軽減し、運用移行を円滑に |